rrrenkon’s diary

考えたこと、忘れたくないこと

どんな大人になりますか?と聞かれた

医学生の行う病院実習では、回診に参加する、カルテを先生のものを見倣って記述する、など通常の病棟業務に加えて、先生の行う臨床に即したミニレクチャーのようなものも行われる。

 

ミニレクチャーを担当する先生方は、割と自由に授業をして下さり、羽振りのいい先生はレクチャー後スタバに連れて行ってくれることもあった。時間も自由なので、開始予定時刻の20分前に1時間延期されたり、レクチャー自体なくなることもある。病棟の先生は忙しいのだ。

 

そんな自由なミニレクチャーで聞かれることはどの診療科でも大抵、どんな患者さんを見ましたか、何を勉強しましたか、この数値はどのような意味を持ちますか、どんな検査をしたいですか、というものだが、今回のレクチャーは一味違い、どんな大人になりたいですか?と聞かれた。

私がトップバッターであったため、対策が取れず答えに窮してしまった。その場では思ってもみないことを言ってみたが、この手の質問をする先生には当然見抜かれているだろう。私は自分が大人になるということについて何も考えていなかった。それどころか、私は自分が一端の大人であるとすら思っていたし、未来の私というものが全く自分のこととして理解できなかった。誕生日を迎えればとれば自動的に大人にプロモーションすると思える年齢はとうに過ぎていて、そこには自分を大人だと思い込んでいる哀れな年寄りの子供がいた。病棟に出て、朝の回診に参加し、担当する患者を与えられ、プレゼンをし、インフォームドコンセントに参加しても私たち医学生は何一つ責任を取ることはない。もちろん、全ての決定は研修医以上の医師免許を持った人間によってなされ、医学生がそこに立ち入ることはない。病院実習に行くようになり、病棟の一員として社会に参加しているという自身への過剰評価に対して目を覚ますような質問だった。